機械式の時計の場合、時計の時刻精度は振り子の周期で決まります。
掛け時計などの振り子に触れる時計は素人が歩度(時刻精度)を調整できる数少ない種類の時計になります。
振り子時計の振り子には歩度調整のためのネジがついています。このネジを根気強く調整すればかなり正確な時計が得られます。
クオーツの振り子時計の振り子は飾りなので調整できないし、調整しても歩度は変わりません。
振り子のない機械式時計の場合、髭ゼンマイを使ったバネが内部にあって振り子の代わりをしています。
髭ゼンマイに力を加えてバネの強さを変えると振り子としての周期がかわるので、ここで歩度が調整できます。
昔の置き時計や目覚まし時計は調整可能になっていたのですが、腕時計では調整可能なものは見たことがないですね。
クオーツの場合は水晶発振子を使った発振回路で歩度が決まります。
使用する発振子や電子部品のばらつきで歩度が変わってしまうのですが、基本的には調整機能はなく部品の付け替えで調整します。
クオーツの歩度は作ってしまえばまず変わることはありません。月差何秒とかいうのは製造時にその数値に収まるように調整していますというだけで、使用中にその範囲内でばらつくというものではありません。
機械式の時計の場合はバネとなる髭ゼンマイの温度変化や金属疲労、振り子の重りに相当するテンプの回りやすさの安定性などが歩度が狂う要因になるので、材料や加工精度が時計精度に影響を与えます。精度の高い時計を作るには高い技術が必要です。
クオーツの場合は電子部品ですからよほど粗悪なものを使わなければ簡単に一定の精度が得られます。
量産品の時計の場合、歩度は運になります。
製品仕様の範囲内に収まっていれば検査は通りますので、月差10秒とかの時計ならば-0.5〜3.0くらいに収まっていれば問題なく適正品でしょう。
今回入手した時計はこの点大当たりでした。まだ2ヶ月ほどですが1秒狂っていません。
この時計の前に使っていた時計はDay-Dateタイプの同じシリーズのムーブなのですが月に2秒ほど進みましたから、この子は大変優秀です。